日本を訪れる外国人から指紋を取り、顔写真を撮る出入国管理法の改正案が衆院を通過した。テロを未然に防ぐための法改正で、不法入国者の対策にも役立つとされる。
だが慎重論も根強い。在日外国人に義務づけていた指紋の押捺は、人権の侵害との批判を浴びて00年に全廃されている。指紋の押捺が人権侵害に結びつくとは全く思えないのだが、どうか。
日本のイメージもかけがえないが、生活の安全を守る方が急務だ。昨今の外国人犯罪の犯罪が横行する国になってしまっては、ひいては日本のイメージも悪化しようというものだ。
今回の法改正は、04年12月に政府が決めた「テロの未然防止に関する行動計画」に基づく。入国する外国人の個人情報を、電磁的な方式で採取する。除外対象に、特別永住者が含まれるのが気になるが、それでもかなりの効果を期待できる。
入国審査の際に指紋押捺と顔写真を記録し、技術の進歩により虹彩の情報も含める。これにより、外国人であるからという理由で冤罪に処される人が減少することも期待できる。外国人によるヒットアンドアウェイ犯罪も防止できるだろう。
入国管理で採取した指紋は、テロリストを含む国際手配者のリスト1万数千人分のデータや、過去に強制退去させられた約80万人の資料と照合する。
新制度を導入すると、国内でのテロ活動などの防止に一定の効果が望めるだろう。退去強制を受けたのに、偽造旅券などで入国を繰り返す不法入国者の閉め出しにも役立つ。
その一方で、弊害を指摘する団体が気になる。日本弁護士連合会は、生体情報の提供は外国人のプライバシー権を制約し、特に指紋採取は「品位を傷つける取り扱いだ」と指摘している。生体情報取得のどこがプライバシー権制約なのだろうか。それを言うのなら献血もプライバシー権侵害なのかと問いたい。
『国籍を問わない共生社会を築く上で大きなマイナスになる』と麻日新聞は指摘するが、そもそも共生社会を築くことを国民は望んでなどいないし、彼らの言う共生社会とはただ単に寄生されているだけの社会であることは既に看過されている。また、全国民の生体情報取得が何か問題あるのだろうか。犯罪を犯さないのであれば指紋情報を国に管理されても問題などない、いや寧ろ冤罪による人権侵害を未然に防げる効果の方が大きいのではないか。
指紋の保存期間についての公開を控えた法務省を、『個々の外国人の人権にかかわる問題である。明示するのが当然だ。』というが、指紋情報が国に残る事のどこが人権に関わる問題なのであろうか。他国の工作員や犯罪目的入国者を除けばほとんどの外国人は気にも留めないと思うが、どうか。
海外の制度はどうなのだろうか。
法務省によれば、水際で一律に指紋や顔写真の提供を義務づけている国は、今のところは米国だけだ。改正入管法が成立すれば、日本が世界で2番目となる。ほかに欧州連合が、ビザ申請の段階での指紋採取を検討しているが、短期旅行者などビザを免除されている者は対象にしない方向だ。
さらに3月29日にはイギリスでパスポート取得に「生体認証」義務付ける法案を可決した。悲しい哉、既に対策を講じないとテロリストや犯罪者の流入を防げないのが世界の現状であろう。
昨年、約750万人の外国人が日本を訪れた。指紋採取が公平に全外国人に行われていたのであれば、韓国人強盗団や中国人爆盗団のヒットアンドアウェー的な犯罪も抑制できたのではないかと思う。政府は観光促進も結構だが、国民生活の安全を守る事を忘れてはならない。
入管法改正 指紋を取ることの得失
日本を訪れる外国人から指紋を取り、顔写真を撮る出入国管理法の改正案が衆院を通過した。テロを未然に防ぐための法改正で、不法入国者の対策にも役立つとされる。
だが慎重論も根強い。在日外国人に義務づけていた指紋の押捺(おうなつ)は、人権の侵害との批判を浴びて00年に全廃されている。その経験から「一律の指紋採取は外国人の品位を傷つける」というのだ。
安全はかけがえないが、日本のイメージを大きく損なう恐れも残る。参院はさらに幅広い視点からこの制度の得失を吟味してもらいたい。
今回の法改正は、04年12月に政府が決めた「テロの未然防止に関する行動計画」に基づく。入国する外国人の個人情報を、電磁的な方式で採取する。除外されるのは、特別永住者、16歳未満の人、外交官や国の招待者に限られる。
空港などの入国審査の際に、左右の人さし指の指紋を取り、顔写真をデジタルカメラで撮影することになる。さらに静脈や虹彩(こうさい)などの情報も提供させるかは、技術の進展もにらみながら検討していくという。
ここで採取した指紋は、テロリストを含む国際手配者のリスト1万数千人分のデータや、過去に強制退去させられた約80万人の資料と照合する。
新制度を導入すると、国内でのテロ活動などの防止に一定の効果が望めるだろう。退去強制を受けたのに、偽造旅券などで入国を繰り返す不法入国者の閉め出しにも役立つ。
その一方で弊害も気になる。日本弁護士連合会は、生体情報の提供は外国人のプライバシー権を制約し、特に指紋採取は「品位を傷つける取り扱いだ」と指摘している。
国際結婚などで日本に住む人も、外国に出て再入国する際には同じように指紋などを取られる。外国人のみを対象にした管理強化は、国籍を問わない「共生社会」を築くうえで大きなマイナスにならないか。また、「いずれ日本国民も、生体情報取得の対象にされていく」と警戒する見方もある。
指紋の保存期間について、「テロリストを利する」と法務省は秘密にする方針だ。これはおかしくないか。個々の外国人の人権にかかわる問題である。明示するのが当然だ。
海外の制度はどうなのだろうか。
法務省によれば、水際で一律に指紋や顔写真の提供を義務づけている国は、今のところは米国だけだ。改正入管法が成立すれば、日本が世界で2番目となる。ほかに欧州連合(EU)が、ビザ申請の段階での指紋採取を検討しているが、短期旅行者などビザを免除されている者は対象にしない方向だ。
昨年、約750万人の外国人が日本を訪れた。指紋採取が始まっていたなら、600万人から700万人が対象となった計算だ。法改正の影響がきわめて大きいことを忘れてはならない。